

『here and there』の展示をseasonで展開させていただけるというまたとない機会にあたり、seasonなりの編集とは何かあらためて考えていました。
seasonがはじまるまでの私は、『here and there』のまわりを漂うさまざまな要素から本当に多くのことを学んできたように思います。『here and there』に記録されてきたアーティストの言葉や、著者の央子さんの言葉、それから『here and there』を紹介してきた人たちの言葉の中にもたくさんの学びがありました。
そして、seasonをやりながらうすうす感じていたけれど、今はそれを身近な友人たちからも学んでいるように思うことがあるんです。
何を学んでいるかというと、肝心なそれを言葉ではっきりさせるのが一番難しくて、でもなにか「愛しかた」のようなものなのかなと今は考えています。
央子さんの著書の数々は、一貫して「つくる人」を記録してきたもののように思います。央子さん自身が好きなアーティストたちと、同じ時代を並走しながら記録し、編集されてきた著書の数々。
今それを振り返りながら私なりに思うのは、なにが楽しくて生きているのか、なにがうれしいから生きていきたいのか。というようなこと。
ただ無心で生きているだけではなく、おおきな、ちいさな関心ごとがそれぞれの内側にあって、その関心ごとをどうやって「愛しているか」そこが「つくる人」による「作品」のようなものなのではないかと思います。
だから、「つくる人」たちの作品や、それをつくる過程で過ごした日常、考えたこと、対話などが編集された央子さんの著書から「愛しかた」のようなものを学んでいるように思います。同じように、今、同じ時代を生きるさまざまな「つくる人」から学びながら、その学びをわたしが編集しているのがseasonそのものなのではないかと思ったり。
央子さんとSeptember Poertyでお話しした際に、みんなが「自分の好きなこと」について表現するといいこと。そうすれば誰しもが「つくり手」であること。というキーワードをキャッチしました。
東京へ戻る電車では、その日買った本や持参した本などを回し読みしながら、いろいろなことを話したり重ね合わせたりしながら考えました。珍しくミリが「zineを作りたい!」と言い出しました。
「自分の好きなこと」をzineに作ってみればいいね!となったけど、「自分の好きなこと」ってなんだろう。たくさんあるけど、ちゃんと考えてみた事って意外とないのかな。それで、いろんな人の「わたしが好きなこと」を聞いてみたいなと思いました。
「『here and there』を始めたときは、つねに目新しい次の才能を探し求める、という雑誌編集の鉄則から離れ、個人的な関心事というまったく別のルールで編集をしてみたい、という思いから出発しました。」林央子
- STUDIOVOICE 2008 vol.391 new printed matter issueより
seasonでの「here and there reading room」ミニミニワークショップは、央子さんが「個人的な関心ごと」を編集し続けた『here and there』を感じながら、参加者が自分自身に対して「自分の関心ごと」を問うという内容にしてみました。
このワークショップで、参加者のみなさんとコラボレーションする1冊のzineをつくってみたいです。
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